彼はここ【火門会】のトップの息子。
わたし……深川月はその火門会に中学1年生の時に家族に裏切られ、売られただけの女。
わたしが住んでいる街では二つの大きな裏組織が対立している。
1つは【火門会】。
汚いやり方は昔からのようで自分たちの目的が達成できれば、あとは誰が犠牲になろうと構わないと思っているような狂った組織。
もう1つは【雷鳴会】。
火門会とは違い、カタギには一切手を出すことはせず、関係のない人たちを巻き込むことはしないいわばダークヒーローのような組織。
まさに正反対の考え方の組織だからこそ、長年対立しているらしい。
わたしの売られた先が雷鳴会だったらよかったのに。
なんて、たぶん何百回も思ってる。
そこのトップの息子は生まれたときから神の子だって周りから言われて育ってきたんだとか。



