心配しているわけじゃない。
万が一、わたしが人質にでもされたらめんどくさいからだ。
めんどくさいって言ってもどうせ助けてなんてくれないけど。
【りょ】
返信が来たのはそれだけ。
”お疲れ”とか”気を付けて帰ってこい”とかそんな言葉はない。
もう慣れちゃったけどさ。
王雅はもうすっかり火門会に染まってしまっていて優しかった王雅はもうどこにもいない。
こうやって連絡しなきゃいけないのもわたしが逃げないようにするため。
裏社会で生きていくには王雅は優しすぎた。
だから、変わるしかなかった。
そうわかっているからこそ、わたしは王雅に律儀に連絡をして彼から求められたら拒否することはない。



