柊 香澄side

朝、朝日が差し込み窓には1面の大空

下には大きな庭に大きな門

周りには車なんて通らず朝はとても静か

聞こえるのは鳥の鳴き声くらいで、大きな窓を開ければ爽やかな風が吹き込んでくる

まるで、映画のワンシーンのような情景

布団から起きベットから足を下ろす

「おはようございます。柊様」

横を見ると私が幼い頃から身の回りを支えてくれてるお手伝いさんがいた

「おはよう。純蓮」

広い部屋の中にある1つの椅子に座るとヘアセットされる

「今日の予定は、ピアノの発表会が近いため放課後先生がこちらに来るため用意しといてください」

「分かったわ」

首を動かさないよう目だけで光の差し込む窓をみつめる

既に日は登りきっており世界はもう、動き出している

そう思うと私1人どんどん取り残されている気がする

別に、死にたいと思ってるわけではない

生きたいと思ってるかって言われたらそれも違う気がする

そんなことを思いながら目線を下げる

「柊様、終わりました」

「ありがとう」

ヘアセットが終わると下に降り朝食をとる

長机に豪華な朝食が用意されている

沢山のお皿にキラキラした料理

朝から今日も私の為に作ってくれてことが分かる

でも、私の世界はずっと暗い

「頂きます」

誰もいない部屋で1人黙々食べる

味も美味しい、感じられる。ちゃんと

味が感じられない程参ってないことにも嫌気が差してしまう

「ご馳走様」

外から車の音が聞こえてくる

この静かな場所ではなんの車かはすぐに分かってしまう

席から立ち上がり玄関へと向かう

その車に乗り私は朝いつも登校する

外の流れてくる景色を眺める

信号で車が止まり景色も止まる

ちょうど、女子高生が楽しそうに登校していた

私もああなりたかった

堂々と冗談言って大声で笑って人の目なんて気にせず生きたかった

ねぇ、私幸せそうに見えますか。

朝起きたら好きでもない髪型にされ

誰も居ない机で1人食べて

1人広い部屋に閉じ込められて

一日中人に監視されて

だったら私、「お嬢様」なんてなりたくなかった。

「柊様着きました」

「ありがとう。」

「ふぅ、、」

車から降り周りを見回す

好奇の目、尊敬の目、敬意の目、警戒の目、敵意の目、妬みの目、冷たい目

私には計り知れないほどのたくさんの視線、偏見

私は1人なのに、どれも違う目で違う偏見で私を見てくる

ギュッと目をつぶり心を落ち着かせる

大丈夫、、大丈夫、、

「柊さん今日も綺麗」

大丈夫、、大丈夫、、

「私もああなりたいわ」

大丈夫、、大丈夫、、

「ただのお嬢様なくせに」

「不愉快ですわ」

全然平気

パチッと目を開け頭の中で考え事をする

誰の声も聞かず前を見据えて歩く

今日も私は世界に蓋をする