カラカラカラ……と網戸を開け、頭を出して物干し竿を確認したけど、やっぱり見当たらない。 

「あったか?」

背中から和也が声を掛けたから振り向いて首を横に振った。

「おかしいなぁ。風で飛ばされたのかな?」 

デニムは生地自体に重みがあるから、たとえ風が吹いたとしても遠くに飛ばされるはずはない。

真下に落ちることはあっても。

「おかしいなぁ」

「梨花の勘違いじゃないのか?干したつもり、とか?洗濯機の中に入ったままかもしれないぞ!梨花 はおっちょこちょいだから」

和也はあたしを見て笑った。

「うーん、そうかもね」

あまり合点がいかなかったけど、和也の言う通りかもしれない。

時々、洗濯の途中で出掛けちゃったりして忘れることがあるんだよね。

ひとまず網戸を締め、カーテンを引こうとしたときだった。

―――!!!

ササッと、また何かが動いた。