鼻歌交じりで和也の前を横切り、厚いカーテンを閉めようとしたときだった。
突然、窓の外で何かがサッと動いた。
ものすごい速さで。
空(くう)を切ったような。
いや、横切ったようにも感じた。
なんだろう?……今の。
めちゃくちゃ速かったけど。
もしかして、猫でもいたのかな?
最近、この近所で子猫が生まれたようだ。
親猫は察しがついている。
黒と白の斑模様の「シマ」だ。
勝手に名付けてそう読んでいるが、パンパンに膨らんだ「シマ」の体と、相手を威嚇するような鋭い鳴き声。
きっとお腹の子どもを守るためだったのだろう。
四六時中、ミャーミャー鳴いているから。
まっ、ここは1階だし、猫がいてもおかしくないけどね。
気にしない、気にしない。
あー、それより早く入れなきゃ!

