「あー、終わった!」
窮屈なジャケットのボタンを外し、軽く伸びをした。
時計を見ると、11時15分。
今日は自主学習をしている中3の生徒に付き合ったからいつもより時間がオーバーした。
でも、可愛い子なんだよね。
地元の公立中学校に通っていて、成績優秀。
礼儀正しくて、素直で、きっと女の子からモテるんだろうなと思う。
中3にしてはちょっと背が低いけど、それも彼の魅力というか、可愛さの要因。
それに、彼ならもう少し上の高校を狙えると思うんだけど。
彼の第一志望校は、あたしの出身校なんだよね。
校風やあたしの高校時代の話を何度か訊ねられたことがあったっけ。
まぁ、我が母校も決して悪い学校ではないけど、彼ほどの能力ならもったいない気がするんだよね。
「ふぁ~」
あー、それにしても疲れた。
明日は1限から授業だから、そろそろ帰ろう。

