そこには、真っ青な顔をした大家のおばあちゃんと隣の住人が立っていた。
いまいち、この二人の組み合わせがわからない。
それ以上に、なんでこんなに険しい顔をしているんだろう。
二人とも。
尋常でない様子の二人に、あたしは問い掛けた。
「どうしたんですか?二人とも」
ポカンと口を開けたあたしに、大家さんは呼吸困難な鯉のように口に泡を吹かせながら一気に畳み掛けた。
「はぁ…はぁ…梨花ちゃんちから煙が出てるわよ」
「……はい?」
頭の中に???マークがいくつも並んだ。
大家さんも慌てて飛び起きたのか、ピンクの花柄のパジャマ姿で、頭にはカーラーを巻き付けたままだ。
高齢なのに、今にも心臓が止まるんじゃないかと思うくらい慌てた様子だ。

