「なんで…。なんで、あのことを思い出させるようなこと言うの……?」由香が静かに言った。
「……ごめん」私は謝る。
………。
場の空気が凍る。
「…もう、やめよう? こんな話」亜由美が話を止めようとする。
そんな亜由美に反抗するかのように、佳奈子が再び口を開いた。
「じゃあ、亜由美は恐くないの? あの時、最後に亜由美を指差してたんだよ!?」
「酷い…そんなこと言わなくてもいいじゃない! 忘れようとしてたのに…!」
「落ち着いてよ、二人とも。あれは、夢だったんだよ。もう、忘れよう?」私は二人を落ち着かせようとする。
すると、由香が叫ぶように言った。
「じゃあ、夏美は何処に行ったのよ!」
「…それは……」私は返す言葉がなかった。
「あれから夏美は行方不明になったんだよ? 人が一人消えてるんだよ!?」
誰も言葉を返せず、再び場の空気は凍り、沈黙になる。
「…もういい」口を開いたのは、亜由美だ。



