トントントントンッと階段を軽やかに降りるヒールの音がする。

大人だなぁ・・・・あたしよりずっと。


苦笑いがもれ、宏人につぶやいた。


「ごめんね、宏人」


口を尖らせ、あたしを見てる。


「バーカ」

「もうっ! 何回も言わないでよ」

「バーカバーカ」

「ちょっとぉ。もう…ごめんってば」

「あはははは」

「へへっ」


顔を見合わせて笑ったあと。

そっと顔が近付いて。


コーヒーの味の仲直りのキスをした。

苦くて甘い、長めのキスだった。