オレンジの空は今も

「宏人、その肘。怪我してんじゃない?」

「ん?」


ポッキーをくわえたままの宏人が、右袖をぐいと肩まで上げ、どれ?・・・と確かめる。


「あれ、ホントだ。転んだときのかな」


指でちょんちょんと傷に触れると、構わずまた袖を下ろしてしまった。


「まだ、血、出てるじゃない。ちょっと見せて」

「いいから、こんなの。すぐ治るって」

「ダメ。見せて」


宏人の腕を半ば強引に机の上にのせ、袖をまくった。


夏の日焼けが残る筋肉質な腕に少しドキッとする。