オレンジの空は今も

「由希ったら、まだ上の空でしょ」

「え? なんだっけ?」

「まったくもうっ。」

「ごめん」

「ふふふ、いいわ。じゃ、あたしバイトに行くね。また明日。バイバイ」

「うん、またね」


スカートの裾をひるがえし、加奈が教室から出ていくと、耳に入るのは外からの掛け声だけになった。