緑の木々が多く、こんもりとした一つの小さな森を作っているかのようなこの公園は、あたしと宏人のお気に入りのデートコースの一つだった。


春には、池の淵にびっしりと生い茂る白つめ草のなかに埋もれて、ふたりで無心に四葉のクローバーを探した。

七枚の葉をつけたクローバーを見つけたときには、ふたりで取り合いになったっけ。


夏は、キラキラと光る水しぶきをあげながら噴水のなかではしゃぐ子供たちを、コーラ片手にうらやましく眺めた。


「くそー。俺も子供になりてーな」


悔しそうにつぶやく宏人の背中を冗談で「えいっ」と押したら、

不意の攻撃に驚いてホントに水のなかに入っちゃったり。

こぼれ落ちたコーラの泡と宏人の笑顔が、水しぶきのなかでプチプチと弾けてた。