オレンジの空は今も

「すごい」「すげーな」


顔を見合わせ、ほんの少し時間が止まる。

その時間が、やんわりとくすぐったい。


はっとして先に視線をはずしたのは宏人だった。

気のせいか、耳たぶがわずかに赤い。


「乗ろ」


あたしの手をぎこちなくとって乗込口までの階段を歩く。


つないだ指先から宏人の緊張がじんわりと流れ込んでくるのが分かった。

きっと、あたしの緊張も伝わっている。

オレンジ色の箱に乗り込むと、名残惜しそうにその手は離れた。