トクン―――


心臓が高鳴る。


その音が聞こえてしまいそうで慌てて口を開いた。


「こんにちは。あの…由希っていいます」


自分でも呆れるほどベタな挨拶をし、赤くなる。

しかも声が上ずっていた。


「今日はヨロシク。加奈から聞いてると思うけど、俺、宏人。付き合わせちゃってごめんね」


ぺコン…と頭を下げるその姿が何だかとても可愛く見えた。


「こっちこそよろしく」

「ま、せっかくだからおもいっきり遊んで帰ろ?」

「そだね」


屈託のない笑顔に緊張はすぐに解けていた。