そんな加奈とあたしが友人同士になったきっかけというのが、

クラスの人間がどんなタイプなのかが分かりだし、

緊張感もほどよく抜け始めた二学期のことだった。


教室に射し込む陽光から真夏の鋭さが消え、

廊下にたゆたう風から汗の匂いが抜けた秋の入口に、

入学して初めての席替えが行われた。


男子と女子に分かれクジを引き、出た番号通りに席に着くという単純な方法で、

あたしと加奈は窓際の一番後ろとその前の席という、最も仲良くなりやすい教室の片隅に席を置くことになった。


加奈とはそれまでも必要があれば何度か言葉を交わしてはいたけれど、

この席替えをきっかけに、ぐっと距離が縮まった。


よくよく話をしてみると、ふたりとも同じバンドの大ファンで、

お互い先月のライブにも行っていたということが発覚すると、あっという間に意気投合した。