「相変わらず・・・びっくりさせるんだから・・・」



ふたりの間の最後の奇跡が今、通り過ぎた。




そっと立ち上がり、来た道を歩きだす。



伸びる影は一つしかないけれど。



襟元に巻いた濃紺のマフラーがそっとあたしを抱きしめる。







――――オレンジの空は、あの頃も今も変わらずにそこにある。