ふと、手にする缶に違和感を覚える。 そこから伝わる感触は・・・それが空であることを物語っていた。 「・・・宏人・・・?」 柔らかい風が、あたしの周りで揺れている。 頬を包み、髪を撫で、肩を抱き―――― すべてが、優しかった。 身体の奥から、優しさが込み上げてきた。 夢でもいい。 あたしの気持ちは・・・宏人への手紙は、確かに届いたはずだ。 向こうにいる・・・もしかしたら傍にいる、大切な人に・・・。 穏やかな笑みがもれる。 ――――すべてを受け容れたあたしが、ここにいた。