あとね、図書館の脇にあるあの喫茶店。 あたしたちの好きだった紅茶のシフォンケーキがね、メニューからなくなっちゃったんだ。 マスターが一年前に他界して、「同じ味は出せないから・・・」って奥さんが泣きそうに笑ってた。 ミルクティを飲みながらその話を聞いた時、手が震えてスカートにこぼしちゃって。 「そそっかしいなぁ」って笑いながらふいてくれる宏人もいないんだってことが急に寂しくなっちゃって、奥さんと一緒に泣いたこともあった。