怖かった。 宏人が最期に残してくれた手紙だというのに、それに目を通す勇気がなかった。 すがるように加奈を見つめ、乾ききった喉から声を絞り出す。 「加奈・・・読めないよ・・・あたし・・・」 ゆっくりと加奈が左右に首を振る。 「読んであげて。ううん、由希は読まなきゃいけない」 「加奈・・・」 「大丈夫、あたしはそこにいるから。ね? ちゃんと読んであげて」 後ろを振り向いた加奈は、向こう側の鉄柵まで歩いていった。 そして、その場に腰を下ろした。 後ろ手に両手を床について、天を仰いで。