ふらふらとたどり着いたのは近所のマンションの屋上だった。 時折、強い風が吹きつけて、その度に足元がすくわれる。 鉄柵に手をかけた。 下を見下ろすと、そのまま地上へ引きずられそうだった。 ――ここから飛び降りれば楽になれる。 何もかも忘れて、宏人のそばへ行くことができるんだ―― 「由希!! 何してるの!?」 右足を鉄柵にかけた時だった。 背後から叫ぶ人の声が聞こえた。 ぐいと腕を引っ張られ、そのまま後ろへ倒れこむ。 ――加奈だった。