加奈の話では、宏人もあたしと同じように数日間眠り続け、

やはりあたしと同じように雪の舞う午後に、ふと目を覚ましたという。


宏人の怪我は、全身の打撲と足首の捻挫だけで、サッカーで鍛えられた骨は折れることもなく、周囲を驚かせたそうだ。

ただ、左目の視力だけが完全に失われていた。


目を覚まさないあたしの病室へ毎日訪れては、眠ったままのあたしに話しかけて、

食事や見舞い客の相手をするとき以外は、ほぼ一日中そうやって過ごしてくれていたらしい。


眠るあたしの髪を撫で、「由希、頑張れ」とつぶやきながら。