手足も十分に動くようになり、自分の足で歩けるようになったころ、カレンダーは既に3月を指していた。 退院の日、荷物を片付けていると、備え付けの引き出しの奥にブルーの小さな箱を見つけた。 中には、ちぎれた細い鎖と、それよりも少し太めの鎖に二つの星がつながれたペンダントが入っていた。 (―――?) ……誰のだろう。 お母さんのにしては可愛すぎるし、加奈の忘れ物にしては大事にしまい過ぎている。 この感じからして、きっとあたしの物だ。 でもこんなの持ってたっけ。 ……思い出せない。