翌日、薄く積もっただけの雪は、日中のわずかな陽光に溶けていた。

夕方になって、待ち合わせの公園に着くころにはすっかりその影が消えていて、代わりに所々に小さな水溜りを作っていた。


公園の手前の曲がり角を折れると、入口に設けられた車進入防止の柵に腰かける宏人の姿が見えた。


右手で青いラベルの缶コーヒーを持っている。

時折缶を両手で包み暖をとりながら、退屈そうに地面を足でなぞっている。


ポケットからタバコを取り出し、2、3回カチカチとライターをいじった後、思い直したようにポケットへ戻していた。


あたしを待っているときの宏人はこんな感じなんだ。

ちょっぴり可笑しくなり、水溜りに映る雲をぼんやりと見ている宏人を眺めながら、

”このままもう少し待たせてみようかな”

なんて意地悪してしまう。