「そうだ」


宏人が缶コーヒーのプルタブをぐっぐっと取り外し、ベンチの背に何かを刻み始めた。


「何、何?」

「誓いみたいなもの」

「怒られちゃうよ?」

「平気平気」



“宏人&由希”



浅くもなく、深くもなく、そこに刻まれたのは、あたしたちの名前だった。