青色の絵の具をぎゅっとしぼり出したかのような空に、

東から西へ薄く伸びる飛行機雲。


その一本線のほかには何もない、高く澄んだ秋空を仰ぎ、小さくひとつ息を吐く。


鳥たちの声と噴水の水音だけが、早朝の耳に心地いい。



秋空を見上げる視界の片隅に、穏やかな風を受け、さわさわと揺れるイチョウの葉が映る。


カエデの赤、イチョウの黄色、

そして次の葉へその命をゆずるべく、枯れ落ちたセピア色の葉たちに敷き詰められた細い砂利道をゆっくりと歩く。



ブーツのかかとに絡まる葉が時折ふわりと宙を舞う。