聖女になれなかったので魔法大国へ留学することにしたら、まさかの再会が待っていました


 上体を起こした国王は、そんなアーロンの心うちなど知る由もなく、傍へ来るように指示を出した。
 アーロンが少し距離を取って聖女の横に並ぶと、力のこもった声で言い放った。

「第7王子アーロンと聖女ヴァレリアは夫婦となり、今後国に尽くすことを命じる」

(やられたっ!!)

 聖女の神聖魔法が本物だとわかった今、聖女を常に近くに置いておくために、息子である自分と婚姻させるのだ。

 反射的に隣に立つ聖女を見た。
 ヴァレリアと視線が交わったのは、このときが初めてだった。
 ブルーの瞳は吸い込まれそうなほど大きく見開かれていた。
 国王の不意打ちに怒り狂ったのとヴァレリアの瞳に捕まったのとで、心臓が大暴れし、全身の血が沸騰すると思った──