就寝時間になっても、ルーカスの気分は依然として高揚していた。
 マルティーナのいろいろな表情が眼裏に浮かんでくる。

(今夜は寝付けないかもしれない)

 しかしベッドに入ってしばらくじっとしていると、やがて手足が重くなっていった。
 ベッドのマットレスが泥の沼に変化して、身体が徐々に沈み込んでいくように感じられた。
 そうなると、自分の意思で腕を持ち上げることはおろか、指先を動かすこともできない。
 意識までまどろみの中に沈んでいく。
 そうするうちにルーカスは過去を遡り、いつの間にかアーロンの姿に戻っていた──