けれど、ウーゴの言葉に嘘はなさそうだ。
ひとまずマルティーナと係ったせいで、余計なトラブルに巻き込まれたりしていないことがわかっただけでも十分だ。
安心したところで、マルティーナは周囲が騒がしくなっていることに気づいた。
「何かしら?」
ガヤガヤしている方角に視線を向けた。
そこは、どうやら中庭になっているようだ。
上級生と思しき学生が、テーブルをセッティングし始めていた。
「歓迎パーティーの準備か何かだろ」
学院の外からも、カゴに山盛りにした野菜や果物が運び込まれている。
マルティーナが初めて目にする食材もある。
「屋外なのね。てっきり食堂でおこなうんだと思っていたわ」
「食堂だと、立食形式にしても、とてもじゃないけど全生徒は入りきらないんじゃない?」
「それもそうね」
見る見るうちに、ガーデンキッチンまで設置された。
「おっ、もしかしてその場で調理してくれるのかな」
「それ……」
オリビアたちの教えてくれたタローロのことに違いなかった。



