聖女になれなかったので魔法大国へ留学することにしたら、まさかの再会が待っていました




 入学式はクラス毎に座る場所が指定されていた。

「じゃあ、私はE組のほうに行くね」
「ええ」

 マルティーナはB組に割り当てられた席へ向かおうとして、さっそくその目でウーゴの姿を捉えた。
 マルティーナの知らない男子学生と笑顔で談笑している。
 ウーゴのほうも、順調に新しい友人を作っているようだ。

(よかった。昨日のあれから変わったところは特になさそう)

 外傷は見られない。
 衣服で隠れている箇所を……という可能性がないわけではないが、何よりウーゴの醸す柔らかい雰囲気に変化がない。
 ウーゴが怪我でもしていたら、こっそり治癒魔法を使うこともやぶさかではなかったが、その必要はなさそうだ。

(昨日あれからどんな話があったのか訊きたいけれど、後にしたほうがよさそうね)

「マルティーナ!」

 一昨日食堂で隣になった4人のうちのひとりが手を振ってくれた。
 名前は確かオリビアといった。

「よかったー。同郷の友達とは全員クラスが別れちゃって、めちゃくちゃ心細かったの!」

(それもひょっとしたら、学院の意図によるものなのかも……?)

 そんな気がした。