自身の奮う魔法が神聖魔法ではないことがもっとはっきりしたのは、神学校に入ってからのことだった。
最初の実習の時間、教師から習った通りにやってみた瞬間、あれ? と思った。
これまで吸収していたものとは、明らかに異なる力を見つけた。
初めてにも拘らず、それが神聖力だということは確信をもって感じられた。
どこか懐かしくもあった。
そして同時に青ざめた。
(なら、生まれてこのかた行使してきた魔法は何だったの? 何を原動力として使って……)
神聖魔法理論を学べば学ぶほど、マルティーナは怖くなった。
ありとあらゆる教科書の中に、自分の使う魔法を説明する記述はただの一文も見つからなかった。
(まさか、異端の力……?)
マルティーナは時間を見つけては、学校の図書室に通い詰めた。
その間に同級生たちに後れをとって、落ちこぼれていった。



