マルティーナが聖女であったなら、それらの未来はそのまま現実となっていたかもしれない。
しかし、実際は残酷なまでにそうではなかった──
マルティーナは初等教育を受ける年齢に達したとき、神学校に迎え入れられた。
ルーボンヌでは、神聖魔法の素養がある子どもは神学校への入学が許可される。
その対象者は、1万人に1人か2人の割合。
非常に狭き門だった。
しかし、家族は当然のことだと頷いていた。
神学校に入るまで、マルティーナは魔法の元となるそれが何なのか、あるいはどこから来るのかということについて、まるで考えはしなかった。
そこにある力を吸収して魔法を発動させるというのは、マルティーナにとってそれほど自然な行為だったのだ。
しかし幼いながらも、自身が使える魔法はどこかがおかしいと思っていた。
滅多にない機会ではあったけれど、教会に属する神官・聖女たちが神聖魔法を奮う場面を直接目にすることがあった。
神学校で学んだとして、自分の魔法が神官たちの使っていたような魔法になるとは思えなかった。
もっと根本的に、種類そのものが違う気がした。



