「確認なんだが、ルーボンヌには帰りたくはないんだったな?」
マルティーナは、ルーカスの目を見て、しっかりと頷いた。
「なら、僕に任せてほしい」
「いいんですか? 面倒なことに巻き込んでしまうかもしれませんが……」
「構わない。君が面倒に巻き込まれてしまうのなら、いっそ一緒に巻き込まれたい」
「えっ、えっ?」
マルティーナは戸惑いながら、その白い頬をほんのり赤くした。
それを見て、異性の友人に告げるには、少々大胆すぎる内容を口走ったことにようやく気づいた。
発言をした本人であるルーカスまで照れてしまう。
「そ、そういうことだから!」
(『そういう』とは、どういうことだ!?)
自分でも無茶苦茶な区切りの付け方だと自覚していたが、心臓がバクバクしているせいで、考えてから話すという至って普通のことができない。



