「しっかり守ってやりなさい」
「言われなくともそのつもりです!」
「なら、大神官との面会の場は、王宮で設けるつもりだが、お前も同席するように。マルティーナ嬢には、学院長を通じて連絡しておくから、当日は一緒に来ればいい。マルティーナ嬢の学業優先ということにして、日程は年度末の長期休暇中で調整する」
「わかりました」
(後期試験が終わればすぐに長期休暇に入る。場合によってはそれほど時間はないのかもしれない)
ムンっと気合いを入れ直した。
「今からでは、マルティーナ嬢の実家に行って、婚約を結んでいる猶予がないのが惜しいな」
「ぶっ……! 婚約? いや、僕とマルティーナは友人だと、以前にも父上に説明しましたよね?」
「そんなもの、半年も前の話じゃないか。本当にまだただの友人なのか?」
『前世の妻です』と言うわけにもいかない。
「そうですよ。哀しいほどに友人です」
『正気か?』と言いたげな目で、こちらを見てくる。



