「マルティーナって、こういう道に進んだらいいんじゃない?」
「そう思う?」
「思う、思う」
顔が綻んだ。
「実を言うと、この薬草の栽培を始めてすぐの頃から、そうできたらいいなって思ってたの。需要はあるかしら?」
「あるなんてもんじゃないでしょう!」
「だったら、アンダルイドでやっていけなくても、ファーマルズ公国に行けばいいってことね!」
「そうなったら歓迎しまくるけど、アンダルイドのほうが絶対需要ある、ある。そうだ、ルーカス様に頼んで王室御用達にしてもらえば、安泰なんじゃない?」
「そんなこと頼めないってば!」
「えーっ、学友の特権でしょ? ほら、ほら」
パウラが向けた視線の先にはルーカスがいた。
ベルナル先生とルーカスも、薬草の栽培中はほぼ毎日のように園芸部に参加するようになった。
学院長もたまにだが顔を出しては、畑作業を手伝っていく。
こちらに気がついたルーカスが、男子の輪から出て、こっちに向かってくる。



