聖女になれなかったので魔法大国へ留学することにしたら、まさかの再会が待っていました


「彼女はずっと孤独でした」
「それはアーロン……夫が冷たかったから?」
「冷たかった?」
「だってそうだろう」

 意外そうにされる理由がわからない。

「いいえ、そんなふうには思ってなかったです」
「そんなはずが……!」
「彼女は子どもの頃に聖女となるべく家族と離れ、それからずっと孤独でした。でも、孤独なのはアーロン様も同じで……あー、正確には同じでなく、アーロン様は自ら選んで孤独になるような不器用な人でしたが、とにかく彼女はそんなアーロン様の今後を心配していました」

 マルティーナは的確な言葉を考え、選びながら話す。

「孤独な者同士どこか親近感を覚えていたんです。一応夫婦ではあったんですが、実際にはそうではなかった。ヴァレリアはアーロン様と家族になりたいと願っていました」

 ヴァレリアがアーロンのことをどう思っているかなど、訊いたことはなかった。
 驚きすぎて、言葉が出てこない。