「それで、夢の話でしたね?」
「ああ」
(アーロンがヴァレリアに対していかに冷たかったかも、夢の中で知ってしまっただろうか……)
肥大する心臓を抑えるために、ルーカスも自分のホットミルクを口に含んだ。
舌の上で優しい甘さがじんわりと広がる。
しかし、依然として鼓動する音は、ルーカスの中で大きく轟いていた。
(そういえばヴァレリアも気持ちを落ち着かせるために飲んでいたはずだったが、一向に落ち着いてなんていなかったな)
ああいうときに声をかけてやらなかったことを、今さらながら悔やむ。
滅多にない機会だったから、ヴァレリアはとうとう最後まで慣れることはなかった。
(ヴァレリアの代わりに、マルティーナに謝ることは可能だろうか?)
「あの日宮殿に到着した直後、神聖魔法とともに、ヴァレリアという女性の亡くなる直前の思念が私の中に入ってきて、私はヴァレリアと完全に同化しました」
ルーカスはホットミルクを飲みながら、マルティーナの声に全神経を集中させた。



