家族だけでなく、村にも支援してくれるという約束だった。
村中が『これで食べ物に困ることがなくなる』と諸手を挙げてよろこんでいた。
だから、聖女になるための厳しい試練も耐えられた。
そうして聖女となり、国中を巡礼して周り、もう身体がもたないというところまで酷使したところで、大神官からアンダルイドへ移住する話が持ちかけられた。
アンダルイド国王唯ひとりに治癒魔法を使っていれば、衣食住が保証されるという、破格の申し出だった。
これに乗らない手はなかった。
行ってみてさらに驚いたことに、第七王子妃として穏やかな暮らしが与えられた。
子作りも求められなかった。
ルーボンヌ側がどう説明したかは知らなかったが、ヴァレリアの体調のことは包み隠さず話したからこその高待遇なのだろうと察した。
滋養のある食事に、たっぷりの睡眠。
にも拘らず、使うのはせいぜい1日1度の神聖魔法。
しかも、ルーボンヌを出てしまってからは、体を痛めるほどの強い神聖力を取り込むことはできない。
ルーボンヌで、聖女として馬車馬のように働いていたあの頃とは大違いだった。



