聖女になれなかったので魔法大国へ留学することにしたら、まさかの再会が待っていました




「行きたいのは、書店と服屋、それから寝具店でよかったか?」

 馬車に乗り込むと、ルーカスが訊いてきた。

「あっ、それから……文具店も」

 マルティーナは手描きの地図を取り出した。
 オリビアが先週同郷の皆と外出した際に、とても気に入ったというお店を教えてもらったのだ。

 地図を覗き込んだルーカスは目を剥いた。

「この店は……知らないな」

(そんなに驚かなくても……)

 そう思ったが、王都に自分の知らない店があるというのは、王子の沽券にかかわるのかもしれない。

「同じクラスの友人から教えてもらったんです。最近オープンした、可愛い文房具ばかりを揃えているお店らしいので、ルーカス様はご存知なくても当然かもしれません」
「そうか」