「よかった! ファーマルズからはもうひとり留学生がいるんだけど、男子なのよね」
「知り合いなの?」
「いわゆる腐れ縁ってやつ」
「なら、心強いんじゃない?」
「まあ、そうかもね。うちって小さな国だから、自前で魔法の高等教育機関なんて、とてもじゃないけど作れなくて。その代わりに、国費で毎年ふたり、この学院に留学させることになってるの」
マルティーナはぎょっとした。
「留学させてもらうには、成績優秀でないといけないんでしょう?」
しかしパウラは渋い顔をする。
「でも、私は万年2位だったんだ。もうひとりが、いっつもぶっちぎりの1位で……」
ファーマルズ公国の大きさは不明だし、国が違うのに数字だけの単純な比較をしても意味がないのもわかっていた。
それでもルーボンヌの神学校時代、実技教科に足を引っ張られ、下から数えたほうが早かった身のマルティーナにとっては、十分に羨ましい成績のように思えた。
にも拘らず、パウラは心底悔しそうに肩をすくめ、ため息を吐く。



