マルティーナが、ルーカスとは距離を置こうとするのは目に見えている。
かといって、せっかくの好機をふいにするのは惜しい。
「ぐぐ……」
「ルーカスは構わないよな?」
「パウラのことを気に入っている男子に声をかければいいじゃないか!」
「うーん……それは気乗りしないかな」
「なぜだ!?」
マルティーナとタイプは違うが、パウラも見目がいい。
加えてあの明るい性格だ。
パウラと出かけたい輩も探すまでもなく、いくらだっていそうだ。
ウーゴは完全に面白がっていた。
それがわかるだけに悔しかった。
悔しかったが……
「僕が……」
「うん?」
ウーゴに否定したあのときは、確かにそんなつもりではなかった。
しかし今となっては、ウーゴの予想通りになってしまっていた。



