「だけど、ルーカス様もいらっしゃるA組ならともかく、B組の人なら本当に心配しなくても大丈夫だと思うわ」
マルティーナは、あれからルーカスのことを『ルーカス様』と呼んでいる。
そのことについて、ルーカスはまだ渋い顔をしていたが、マルティーナとしてはここが妥協点だ。
生来の性格から、これ以上は馴れ馴れしくできない。
「そうだよね! それを思えば、そこら辺の貴族……なんて言っちゃうとアレだけど、何とかなる気がしてきた」
「そうよ。それにウーゴさんが親しくしてる人なんだし、楽しいお出かけになるに決まっているわ」
「うん、うん。それにまだ貴族と決まったわけでもないしね。羽振りのいい商家のご令息ってこともありえるよね」
ふたりとも、入学して以来初めて外出だ。
加えてアンダルイドの王都で買い物するのも初めてなものだから、余計に楽しみで仕方がない。
軽やかな足取りで女子寮の外へ出た。
ところが、ふたりの足は正門の手前で急停止してしまうのだった。



