玉響の花霞    弍

画面を少し見ただけですぐに
玄関に向かった筒井さんに、
宅急便かな?と思いご飯の準備を
1人で進めた。


よし!
今日のご飯も喜んでくれるといいな‥



ガチャ


『霞ちゃーーん!!いるんでしょ!?』


えっ!?


『はぁ‥来るなら連絡してから来いよ!
 お前らのご飯はないから帰れ!』


『何だよ!ケチだな!!滉一じゃなくて
 霞ちゃんに聞いてんだから
 中に入れろよ!お土産やんないぞ?
 高級旅館予約してやったのに、
 感謝が足りないんじゃないの?』


『はぁ‥‥‥‥‥すぐ帰れよ?』


リビングのドアから向こうを覗くと
蓮見さんと亮さんが私に気付いて
手を振ってくれた。


「おかえりなさい。
 ビックリしました。」


『寄り道せずに来たんだよ?
 滉一に会いたくてさ?
 霞ちゃんなら気持ち分かるでしょ?』


気持ちって‥‥


玄関先で亮さんと楽しそうに話してる
筒井さんにもお構いなしに
こちらに来た蓮見さんは、ダイニング
テーブルに並べられたご飯を見た後
ニヤリと笑って私を見た。


『予備も作ってあるんでしょ?』


「えっ?‥‥そんな‥‥はい、
 沢山はありますけど良ければ
 ご一緒に」


『おい!!お前らとご一緒になんて
 するわけないだろ?
 また明日にしろよ。』


蓮見さんの首根っこを掴んだ
筒井さんは、そのまま玄関の方に
向かって歩いていってしまい
慌てて追いかけた。


『はぁ‥‥いやだね?嫉妬深い
 男っていうのはさ?滉一くん
 余裕を見せないとダメよ?』


『は?煩いからとにかく帰れ!!
 ‥亮悪いな、また後で連絡する。』

『オッケー。井崎さん悪かったね。』


「えっ?いえ私は‥‥」


余計なことを言うと筒井さんに
デコピンでもされかねないので
遠慮がちに返事をした。


それにしても時間が空いても
3人の仲の良さが微笑まし過ぎる。


ギャーギャー喚く蓮見さんをなんとか
玄関の外に出すと、大きな溜め息を
吐いた筒井さんがこちらに来た。


『待たせて悪かった。
 はぁ‥‥腹減ったから食べよう。』


「ふふ‥‥はい。
 少しだけ温め直しますね。」


お味噌汁と焼き鯖、ふろふき大根を
温め直してから並べると、
一緒にいただきますをして食べた。


本当は鯖以外は2人の分も余裕で
あったんだけど、おかわりされるなら
足りなくなるから明日2人が来るなら
ちゃんと多めに作ろう‥‥


『‥‥お前のご飯は全部美味いよ。
 また帰って来る楽しみが出来たな。』


えっ?