玉響の花霞    弍

その日の夜も優しく時には
激しく乱されながら筒井さんに抱かれ、
2人でまた温泉に浸かってから
朝までまたぐっすり眠った。


次の日も足腰に力が入らない私を
抱き抱えて洗面室に連れてってもらう
ことになってしまったけど、
昨日とは違った美味しそうな朝食に
目が輝いてしまう。


「薬膳粥に朝から湯豆腐や湯葉なんて
 素敵ですね。」


フルーツトマトのサラダなど、
体に良さそうなものばかりで
すごく美味しい‥‥


『帰ったらスーパーに行かないとな。
 冷蔵庫の中はほぼ空だから。』


そうか‥‥
私に出来ることあるじゃない‥‥


せっかく一緒に過ごせるのだから、
美味しくて体にいいご飯を作れる!


こんな豪華なご飯とまではいかなくても
得意なもので1つでも活かせることが
あってホッとする。


許される時間をゆっくりお部屋で
過ごした後、また行きと同じ電車に乗り
都内に戻ると、スーパーに寄ってから
私のマンションに先に送ってくれ、
2時間後にまた迎えにきてくれることに
なった。


洗濯を1回回してから、5日までの
お泊まりセットをまた入れ直し、
部屋を軽く掃除して空気を入れ替えた


筒井さんの家も、亮さんが定期的に
管理してくれてるとはいえ、先に戻って
換気や掃除をしたいと言ったのだ。


1人で過ごすと思っていたGWが
まさかの展開で夢のような時間に
なってしまったけど、やっぱり嬉しい‥



この先また半年なのか1年?それとも2年?もっともっと続くかもしれない
けれど、私のこの気持ちは揺らぐことは
ないと思う。


だからもし離れることがあるとしたら、
筒井さんの方からはあり得ることで、
それは頭の片隅に常に置いておかないと
いけない‥‥


きっとそういう日が来た時でも、
筒井さんは嘘偽りなく気持ちを
伝えてくれるはずだから大丈夫‥‥


私が心から好きになった人だから‥‥



ガチャ


『どうぞ』


「お邪魔します。」


久しぶりに訪れた部屋に入ると、
筒井さんより先に靴を脱ぎ、鍵を閉め
終わった筒井さんに向かって丁寧に
お辞儀をした


「お帰りなさい‥‥筒井さん」


『フッ‥‥‥ただいま。』


空港では泣いてしまったけど、
ちゃんと笑顔で本当はこう言いたかった


次に会う時は笑顔で抱きあいたいと
旅立つ前に思っていたから。


次‥‥ここから見送る時も
こうしてまた笑顔でしっかり見送る。
だから夢のような時間を大切に
過ごそう‥‥