きっと私はこの時既に彼に囚われはじめていた。 家についた私が着ていたカーディガンのポケットに手をいれると、彼が私にくれた飴の固い感触が感じられた。 ポケットから取出したそれにしばらく見入ってしまう私は、相当おかしい。 ふっと苦笑して、飴玉を口に放り投げた。 それは固くて、少し冷たかった。