『君、どうしたの?行くところ…ないの?』

暗闇の中、私を見つけ出してくれたのは、あなただった。

街をふらついている若い子なんていくらでもいる。
通り過ぎて行く人、人…。
誰もそんな何もない私を気にかけたりしない。

たまに声をかけてくるのは、ちゃらちゃらしたナンパ目当ての男。
そんな奴も、私が感情を宿さない瞳で見つめれば、中途半端に繕った笑顔を崩して去っていく。

いつだったか。孤独を孤独とも感じることができなかったあの日々は。

愛を知れば、知らなかったころに戻れなくなった。

だから、今の私には、あの時のことが遠い。



今はとても、遠い…。