俺はどうして外へ出たのかもわからなくなっていた。とにかく、一刻も早く家に帰りたくなった。


少し、考える時間が欲しかった。明衣について、サユについて、岬について、美月について。





自分について。

フラフラとした足取りなのは自覚していた。しかし足を止めることはしなかった。


とにかく家へと進める足は絶対に止まらないはずだった。

なのに、家まであと数分という距離で、俺の足は止まった。そして、凍りついたかのように動けなくなった。


「……明衣……。」




数メートル先に現れた、人影によって。