「陽輔……だよね?」 その女性の声は記憶にあったし、顔を上げて見つめた彼女の顔は、年月がたち、多少大人びていても、記憶と一致させることができる。 「美月……。」 俺が名を呼ぶと、その人物は戸惑った表情から口角を少しあげ、微笑みを浮かべた。 「やっぱり、陽輔。……久しぶりだね。」 微笑みを浮かべたまま、彼女はそういった。 彼女はまだ、俺にこんな表情をみせてくれるのだな、と思った。 いや、今だからこそ、なのか。