おしゃべりな家庭科室で。

 栗谷くんは大まじめな顔でいう。

「この料理を味見してくれたら、今週末にふたりで映画行こう!」
「なにその交換条件!」
「さーて、作るぞー!」

 栗谷くんがエプロンをつける。
 ああ、もうこうなったら誰にも止められない。

 まあしょうがないか。
 こういう栗谷くんを好きになっちゃったんだから、ね。


「ギャアアアアアまずいいいいい」
「もっとオブラートに包んでいってくれよ」
「うそつきいいいい」
「なにがだよ!」

 家庭科室に響く、わたしの悲鳴と栗谷くんの戸惑う声。
 栗谷くんの彼女はうれしいけど。
 味見係はもう嫌だ。
 そう思ったのは、ないしょ。


 ちょうどそれから一年後。

 わたしと麗は、仮面をつけて『シュガララ』のユニット結成、動画もスタート。
 動画には時折、仮面をつけた男子が料理をするコーナーもできた。

 それをひっくるめて、『シュガララ』は人気動画の仲間入りをすることになる。
 そこからまた、わたしと栗谷くんのドタバタがあるんだけど。

 それはまた別のお話。