【焼き……】
クレープを食べ終えたと同時に、どこからか声が聞こえた。
【明石焼き……】
今度はハッキリと聞こえた。
クーラーボックスの中から。
これは食材の声だ。
【明石焼きに、なりたい】
「明石焼き?」
わたしがいうと、栗谷くんが指を鳴らす。
「そうか、その手があったな!」
「え、なに? 明石焼きって聞いたことはあるけど」
「卵でできたたこ焼きみたいなもんだ。出汁で食べるから、ソースもいらない」
栗谷くんはそういうと、「家庭科室に卵はたくさんあったなあ」とつぶやく。
それから、わたしたちにいう。
「よし、これから明石焼きを作る」
「明石焼き、作ったことあるの?」
わたしが聞くと、栗谷くんは自信たっぷりにいう。
「ない!」
「……自信たっぷりでいうことじゃない」
「でも、おれならできる」
「相変わらずの自己肯定感の高さ……」
「つーか、最近少し自信もついてきたし」
「へえ。なにかあったの?」
「さっきの友野さん夫婦、おれの死んだ親父の親友なんだ。最近は友野さんが経営するレストランで、料理をつくって味を見てもらってたんだ」
栗谷くんがそういって、わたしを見る。
「それじゃあ、最近、家庭科室に行かなかったのって……」
「そう。レストランの厨房のほうが色々とそろってるし。もちろん、レストランの休憩時間に、だけどな」
「お世話になってるって、そういうことだったんだ」
「うん。買い物とかもいっしょに行ったしな」
「なーんだ。わたし、てっきり……」
「てっきり、なんだよ? さっきもいったけど彼女じゃねーぞ」
「ううん。なんでもない」
「おれの好きな人は……」
栗谷くんはそこまでいうと、ハッとして振り返る。
なぜか麗と戸成くんが、ニヤニヤしてこっちを見ていた。
「あー、もう! なんだよ、うるせーなあ」
怒る栗谷くんに、ふたりはいう。
「えー、別にわたしらなにもいってないじゃん」
「だよね。早乙女さん。おれら大人しく話聞いてただけだよね」
「話聞いてるのが……」
栗谷くんはそこで言葉を切り、それからいう。
「いや、むしろ、早乙女と、ついでに戸成にもいっておくか」
「えっ。おれはついで?」
「おれ、ここだけの話、シェフ志望なんだ」
「えー、すごっ! ってゆーか、なんでここだけの話なの?」
「やっぱ隠したいお年頃とか?」
「まあ、いろいろあって。で、おれは明石焼きをつくる」
栗谷くんはそこまでいうと、わたしたちを見てこう続ける。
「誰か手伝ってほしいんだけど、だれか料理できるか?」
「わたしは、まあ、栗谷くんが知ってのとおり……」
「よし、紗藤は戦力外だな」
「ってゆーか、料理は専属のシェフが作ってくれるもんじゃないの?」
「早乙女も戦力外か」
「おれ、タコパよくやるよ」
「戸成、それならなんで率先して、屋台のほう手伝わないんだよ……」
「だって、じいちゃんとばあちゃんの家に行くとタコパになって、おれは基本、粉混ぜたり、材料切ったりするだけだし」
「よし! 戸成は手伝ってくれ!」
栗谷くんの言葉に、戸成くんは、「わーい」と喜ぶ。
戸成くん、最初のイメージとだいぶちがう人だなあ。
いや、親しみやすいからいいんだけど。
わたしがそんなことを思っていると、麗がいう。
「わたしたち、どーしようね」
「人を集めてくれ」と栗谷くん。
「そーいわれてもなあ」
すると、ネギが歌い出した。
クレープを食べ終えたと同時に、どこからか声が聞こえた。
【明石焼き……】
今度はハッキリと聞こえた。
クーラーボックスの中から。
これは食材の声だ。
【明石焼きに、なりたい】
「明石焼き?」
わたしがいうと、栗谷くんが指を鳴らす。
「そうか、その手があったな!」
「え、なに? 明石焼きって聞いたことはあるけど」
「卵でできたたこ焼きみたいなもんだ。出汁で食べるから、ソースもいらない」
栗谷くんはそういうと、「家庭科室に卵はたくさんあったなあ」とつぶやく。
それから、わたしたちにいう。
「よし、これから明石焼きを作る」
「明石焼き、作ったことあるの?」
わたしが聞くと、栗谷くんは自信たっぷりにいう。
「ない!」
「……自信たっぷりでいうことじゃない」
「でも、おれならできる」
「相変わらずの自己肯定感の高さ……」
「つーか、最近少し自信もついてきたし」
「へえ。なにかあったの?」
「さっきの友野さん夫婦、おれの死んだ親父の親友なんだ。最近は友野さんが経営するレストランで、料理をつくって味を見てもらってたんだ」
栗谷くんがそういって、わたしを見る。
「それじゃあ、最近、家庭科室に行かなかったのって……」
「そう。レストランの厨房のほうが色々とそろってるし。もちろん、レストランの休憩時間に、だけどな」
「お世話になってるって、そういうことだったんだ」
「うん。買い物とかもいっしょに行ったしな」
「なーんだ。わたし、てっきり……」
「てっきり、なんだよ? さっきもいったけど彼女じゃねーぞ」
「ううん。なんでもない」
「おれの好きな人は……」
栗谷くんはそこまでいうと、ハッとして振り返る。
なぜか麗と戸成くんが、ニヤニヤしてこっちを見ていた。
「あー、もう! なんだよ、うるせーなあ」
怒る栗谷くんに、ふたりはいう。
「えー、別にわたしらなにもいってないじゃん」
「だよね。早乙女さん。おれら大人しく話聞いてただけだよね」
「話聞いてるのが……」
栗谷くんはそこで言葉を切り、それからいう。
「いや、むしろ、早乙女と、ついでに戸成にもいっておくか」
「えっ。おれはついで?」
「おれ、ここだけの話、シェフ志望なんだ」
「えー、すごっ! ってゆーか、なんでここだけの話なの?」
「やっぱ隠したいお年頃とか?」
「まあ、いろいろあって。で、おれは明石焼きをつくる」
栗谷くんはそこまでいうと、わたしたちを見てこう続ける。
「誰か手伝ってほしいんだけど、だれか料理できるか?」
「わたしは、まあ、栗谷くんが知ってのとおり……」
「よし、紗藤は戦力外だな」
「ってゆーか、料理は専属のシェフが作ってくれるもんじゃないの?」
「早乙女も戦力外か」
「おれ、タコパよくやるよ」
「戸成、それならなんで率先して、屋台のほう手伝わないんだよ……」
「だって、じいちゃんとばあちゃんの家に行くとタコパになって、おれは基本、粉混ぜたり、材料切ったりするだけだし」
「よし! 戸成は手伝ってくれ!」
栗谷くんの言葉に、戸成くんは、「わーい」と喜ぶ。
戸成くん、最初のイメージとだいぶちがう人だなあ。
いや、親しみやすいからいいんだけど。
わたしがそんなことを思っていると、麗がいう。
「わたしたち、どーしようね」
「人を集めてくれ」と栗谷くん。
「そーいわれてもなあ」
すると、ネギが歌い出した。


