おしゃべりな家庭科室で。

「おれのぶんもあるのか」
「わー、ありがとう」

 栗谷くんと戸成くんは、そういいながらもふたりそろって財布を取り出す。

「あっ、いいって。いいって。みーんな、わたしの奢り」

 麗がニッコリと笑う。

「ありがとう。……なあ、早乙女さんって、あのうわさ本当?」

 戸成くんが、麗を見て続ける。

「早乙女さんって、かなりお金持ちってうわさ」

「そうなのか?」と栗谷くん。

「あれ? 知らないの? 麗、かなりお嬢さまなんだよ」

 わたしがそういうと、栗谷くんも戸成くんもおどろいたような顔をする。

「お嬢さま……。そうかなあ。白銀町に住んでる人はみんな別荘、三つくらい持ってるよ」
「白銀?! 金持ちの家が立ち並ぶという町!」と戸成くん。
「別荘三つって……」と栗谷くん。

「じいやとか、いるのか?」

 栗谷くんの質問に、麗は首を横に振る。

「ううん。いないよー」
「そうか」
「執事とメイドがいるだけだよ」
「いるじゃねえか!」

 栗谷くんがツッコミを入れる。
 わたしはそのやりとりに、思わず笑う。

 まあ、そんなわたしも、麗の家に初めて行った時は驚いた。
 世の中、こんなすごい家に住んでる人がいるんだ、って。

「奢る代わりに、なんか面白いもの見せてねー」

 そういってにっこり笑う麗に、栗谷くんがいう。

「お嬢様の考えることはわからないな……」
「わたしも未だに麗の考えてることが、わかんない時あるんだよね」 
「大変だな」
「麗はかわいいから、すべてが許されるんだけどね」
「推しには全肯定なオタクかよ」

 栗谷くんはそういって笑った。

 ああ、やっぱ笑顔の栗谷くん、いいな。
 尊い。
 推しが増えた。

 わたしはそんなことを思いつつ、クレープを食べた。
 いちご生クリームのクレープは、空腹の体にしみこんでいく。
 ものっすごく美味しい。